複数チームを掛け持ちする指導者のデータ管理|担当が増えても運用が壊れない形

複数チームを掛け持ちする指導者のデータ管理|担当が増えても運用が壊れない形

平日は高校の部活を1つ、週末は別のクラブチームを見る。あるいは業務委託で複数の学校を掛け持ちする。S&Cコーチや部活動指導者には、こうした働き方が珍しくない。

1チームだけを見ているときの運用を、そのまま担当チームを増やした状態に広げると、たいてい思わぬところで崩れる。ファイルが増える程度の問題に見えて、実際には「どこに何があるか」「誰に何を見せていいか」という運用の前提そのものが崩れるからだ。この記事では、掛け持ちならではの3つの崩れ方を整理し、担当が増えても壊れないデータ管理の作り方を書く。

掛け持ちで起きる3つの崩れ方

崩れ方①:チームごとにファイルが分裂する

Aチーム用のスプレッドシート、Bチーム用のスプレッドシート、と分けて作っていくと、チームが増えるたびに新しいファイルを一から用意することになる。項目の並びや単位の書き方も、チームごとに少しずつずれていく。

分裂が本当に効いてくるのは、横断的な確認をしたいときだ。「今シーズン、AチームとBチームで測定値の伸びに違いはあるか」「掛け持ちしている選手の負荷が、両チーム合わせてどうなっているか」——こうした確認は、ファイルが分かれている限りほぼできない。

崩れ方②:チームを切り替えるたびに探す時間が発生する

複数チームのデータを別々の場所で管理していると、「次はBチームの確認」と切り替えるたびに、どこに何があったかを思い出すところから始まる。

1回あたりは数分でも、掛け持ちしているチーム数だけ、しかも訪問のたびに繰り返される。週に3チームを回る指導者であれば、この「探す時間」だけで1回あたり数十分を失っている計算になる。

崩れ方③:共有範囲の管理が個別対応になる

複数チームを掛け持ちしていると、チームごとに一緒に見ている人が違う。Aチームの記録はA校の顧問と共有したいが、B校のスタッフにまで見えてしまうのは避けたい。

この共有範囲を、ファイルごとの共有設定で1件ずつ管理していると、担当チームが増えるほど設定漏れのリスクが上がる。退部・卒業・担当交代のたびに共有設定を手作業で見直す運用は、チーム数が増えた時点で追いつかなくなる。

単独チームの前提が、掛け持ちでは崩れる

項目単独チームの前提掛け持ちで崩れる点
データの置き場所1つのファイルで足りるチームごとに増殖し、横断できない
確認の動線開けばそのチームの情報だけ切り替えのたびに探す時間が発生する
共有範囲見る人がほぼ固定チームごとに異なる相手へ絞る必要がある
引き継ぎ自分が異動すれば終わりチーム単位で担当が入れ替わることがある

単独チームを前提にした運用をそのまま拡張すると、上の4項目すべてが担当チーム数に比例して重くなる。逆に言えば、この4点をあらかじめチーム単位で設計しておけば、担当が増えても運用の負担は比例して増えない。

壊れない形にする3つのポイント

①データを「チームのファイル」ではなく「選手」に紐づける

選手をチーム単位のファイルに閉じ込めるのではなく、選手自身にデータを紐づけ、その選手がどのチームに所属しているかを属性として持たせる形にする。こうしておくと、チームをまたいだ確認も、選手が別チームに移った場合の記録の引き継ぎも、ファイルを探し回らずに済む。

②チームを切り替える動線を、確認作業の入口として決めておく

「今どのチームを見ているか」を毎回思い出す運用ではなく、確認を始める最初の一歩でチームを選ぶ動線をあらかじめ決めておく。動線が1つに決まっていれば、チーム数が増えても、探す時間そのものは増えない。

③共有範囲をチーム単位の設定として持つ

誰にどこまで見せるかを、選手や測定記録ごとに個別設定するのではなく、チームという単位に紐づけて持つ。チームに人を追加・削除すれば共有範囲もそれに追随する形にしておけば、担当交代のたびに設定を洗い直す作業がなくなる。

導入前に確認しておきたい3点

複数チームを掛け持ちする前提でツールや運用を選ぶなら、次の3点を確認しておくと外しにくい。

  • 選手データが「チームのファイル」ではなく「選手自身」に紐づく設計になっているか
  • チームを切り替える操作が、数クリックで完結するか
  • 共有する相手をチーム単位で限定でき、担当が入れ替わっても設定をゼロから作り直さずに済むか

いずれも、担当チームが1つのうちは差が見えにくい。2つ目、3つ目のチームを持った瞬間に効いてくる観点なので、掛け持ちが決まった時点、あるいは掛け持ちになりそうだと分かった時点で確認しておきたい。

まとめ

複数チームを掛け持ちする指導者のデータ管理が崩れるのは、ファイルの分裂・切り替えの手間・共有範囲の個別対応という3つの理由からだ。いずれも、単独チームを前提にした運用をそのまま広げたときに表面化する。

チーム数が増えるほど負担が比例して増える設計になっていないか、今のうちに点検しておきたい。データを選手に紐づけ、チームの切り替えを1つの動線に決め、共有範囲をチーム単位で持つ——この3点を押さえておけば、担当チームが3つ、4つと増えても運用は壊れない。

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